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リベンジポルノの非合法化に尽力した人+海を越えリベンジポルノを告訴したひと(アップデート)

警告:レイプへ言及

・リベンジポルノとは?

リベンジポルノとは、恋人が振られた腹いせに元恋人の承諾なく、ヌードなどを含めた画像、動画をインターネットサイトに投稿することです。米国において非合法化が推進されたこと、日本においてある加害者が元恋人を殺害した上リベンジポルノをばらまいたことは記憶に新しいですね。
theguardianのI was a victim of revenge porn.では、頭のおかしい元恋人に付き合っていたときに撮らせた画像を住所名前職場の個人情報つきで投稿された女性が、必死に闘う姿が描かれています。そして証言台に立ち、他の団体の活躍などもあって、法が修正され、インターネットを不適切に使用したものは罰せられるという条項に従い加害者は有罪になるところまでこぎつけたようです。ただこの法律は州レベルなので連邦レベルで女性をリベンジポルノから守る法律を通せるよう要求していくとのことです。
アメリカではカリフォルニアもリベンジポルノを違法としています。

・チンバーズさんの戦い

アメリカ人のLGBTQIA+活動家であり、ユーチューブチャンネル、BriaAndChrissyの管理人、人気ユーチューバーのクリッシー・チンバーズさんもまたリベンジポルノの被害者です。彼女は十代のときに付き合っていた彼氏に別れたい旨を伝えたところ、相手から酒を飲まないかと誘われました。承諾し、夕方、一緒に飲んでいるうちに彼女は泥酔し意識を失いました。彼女はその後に起こったおぞましい出来事を全く覚えていませんでしたが、交際相手は意識のないチンバーズさんをレイプしたあげく、その様子をカメラで撮影していました。撮影された動画がネットに出回っていると知ったのはそれから何年もたってからでした。彼女はチャンネルの購読者のコメントでそのことを知り、ショックで、PTSD,悪夢、鬱状態に苦しめられ、アルコールを摂取することで気を紛らわすようになりました。彼女の現在の恋人であり、一緒にチャンネルを運営しているブリアさんは、チンバーズさんの苦悩する様子に非常に心を痛め、夜、彼女が寝静まった後にネットを検索して、彼女の動画が新たなサイトに上がっていないか毎日確認していたといいます。チンバーズさんのアルコール摂取量は増え続け、ついに急性アルコール中毒で死にかけて入院(E)するという事態にまで発展しました。さらに、最終的に35のポルノサイトに広まり、数万回再生された動画は、元交際相手の顔のみぼかしが入れられており、このリベンジポルノによってチンバーズさんは精神だけでなく経済的にも打撃を受けました。ユーチューブチャンネルの購読者数が減り、それが数千ドルの損失となったのです(E)

チンバーズさんははじめレイプの被害届をアトランタ警察に提出しましたが起訴には至りませんでした。そこで彼女は、元交際相手が動画をイギリス滞在中にネットに投稿していたことから、イギリスへ飛び、そこで民事訴訟及び刑事告訴の手続きを行いました。今は起訴できるかどうかの返答待ちですが、彼女はイギリスで初めてリベンジポルノに対する民事訴訟及び刑事告訴をした人物となりました。

イギリスでは今年4月にリベンジポルノ法が施行され、誰かの性的な映像や画像を相手の承諾なく悪意を持ってネットに投稿することは違法となりましたがチンバーズさんが被害を受けたのはかなり前だったためその法律は適用とならず、別の法を用いなければならないため弁護士は苦戦しているよう。これまでも女性の権利のために闘ってきた弁護士、Ann Olivarius氏は言います

We know what has to get done, we know this is wrong, we know that society should not tolerate this, it’s not acceptable behaviour, but still they get away with it all the time.

私たちは何がなされるべきかわかっている、リベンジポルノがいけないことだということも、社会が許容すべきではないことも、これが許されない行為であることも理解している。それなのに未だ加害者はいつも罰されないのが現状なのだ。

ガーディアン社は何度もチンバーズさんの元交際相手にコメントを打診したが、返答はなかったとのことです。

明治期から昭和の女性の人身売買を描いた傑作「親なるもの  断崖」part2

つづき……

*(E)=(English)

-妊娠強要

望まない妊娠はどの女性にとっても恐怖だ。それはキャリアの中断を意味したり、身体に負担のかかる中絶を意味するだけでなく、精神的に大きな苦痛を伴うからだ。それを防ぐためには避妊が必要である。避妊にはさまざまな種類があるが、経口避妊薬、低用量ピルはかなり避妊効果が高いことで定評がある。

日本では医師の処方なしでは手に入らない上、保険がきかないが、

多くの国々(e)では薬局で市販されている。
また,避妊に失敗したときの緊急用経口避妊薬、モーニングアフターピルは、日本では高額であり保険がきかず、(緊急時なのに) 医師の処方が必要だが、(source 2)
(この現状を憂えて、ピルとの付き合い方、というサイト の管理人のruriko さんは、緊急経口避妊薬の市販化キャンペーンを行っている )

アメリカでは2013年から薬局で市販(e)されるようになり、
イギリスでは16歳以上であれば市販のものを処方箋なしで買う(e)ことができる。
しかし日本のような避妊後進国(e)が生み出すのは、中絶ビジネスで儲ける医者と、彼らに搾取され身体的経済的に負担を強いられる不幸な女性だ。
特に妊娠12週以降の中期中絶は身体への負担が大きくなり、将来不妊になるリスクもある。
ピルの認可にこれほど厳しい態度の政府は、既得権益を守りたい産科医との癒着による堕落と共に、女性の身体をコントロールしたい、女性に避妊手段を持たせたくないという意図をも想起させる。アメリカで、中絶を行うクリニックが嫌がらせ、誹謗中傷を受けたりするのと、日本で経口避妊ピルが広く認可されていないのは同じコインの裏表だ。男が女の妊娠出産をコントロールしたいということである。

卑近な例は、夫、または男性のパートナー(恋人) が相手の女性に妊娠を強要することである。

RH Reality Check でのMartha kempner の報告(e)によれば、

レイピストのRoman Polanskiは、次のように語っている。
” I think that the Pill has changed greatly the woman of our times, ‘masculinizing’ her,” (私はピルが現状の女性を大きく変えたとおもう。ピルは女性を男性化させたーー筆者訳) 

彼は自分の身体をコントロールするのは男性だけの特権であると信じ切った様子で語る。

“I think that it chases away the romance from our lives and that’s a great pity.”

( そしてピルの出現は私たちの人世からロマンスを奪った。とても哀しいことだ。)
ここで注意しなければならないのは、この犯罪者のいう”ロマンス” とは、女性を、男性の気まぐれで妊娠させられるという恐怖の状態におくことだ。女性にとって、そしてマトモな男性にとっても、これはロマンスでもなんでもない。

このような歪んだ思考は、レイピストなど犯罪者特有のものなのであろうか?残念ながら調査結果は反対を示している。

Kat Stoeffelの報告(e)によれば、 ロードアイランドの州立産婦人科医院の医師Lindsay Clark によって行われた研究において、調査をうけた女性641人のうち、16%ものひとがパートナー又は夫から妊娠するよう脅迫を受けたり、妊娠させるためピルを隠されたり、故意にコンドームに穴を空けたりされたことがあると答えたという。
男性はなぜこのような行動をするのだろうか?それは、女性を完全に自分の支配下におき、優越感に浸り、高揚した気分になるためだとRH Reality CheckのAmanda Marcotteはいう。(e)

加虐的な男は妊娠強要によって究極的に女性を自分に縛り付け、支配しようとする。男性は女性の所有者でさえある社会で、妊娠強要は珍しくないのである。

3,性犯罪は女の責任

性差別的社会では、シスジェンダーの男から女への性犯罪は軽く見積もられる。なぜなら’女のからだは男のもの’ という前提のもとに社会が成り立っているからだ。ありていにいえば、女はいつなんどきでも男の性的快楽を充足させるためにスタンバってるべきだ、という考え方だ。だから女が性的嫌がらせを受けたと騒ぐと、社会は、お前の着ていた服が悪い、出歩いていた時間が悪い、お前は繊細すぎる、そういうことを言うべきではなかった、などとおためごかしを言って問題の核心をつくことを忌避する。矛先を女性に向け個人攻撃をする。しかし社会がそういう行動をとることそのものが性差別が存在していることを実証している。問題の核心をずらそうとするのは、自分の言い分に裏付けがないことを自覚しているからだ。もし問題について話し合いを持ちたいという意思があれば、問題点を指摘されて、個人攻撃をしたりはしない。

ある特定の特徴をもつグループを、ある枠組みの中に入れて非人間化し、その責任を彼らになすりつけることは、古今東西行なわれてきたことであり、それが差別である。