タグ別アーカイブ: 中枢神経過敏症

斜頸アップデート

*(e)->(English)

久しぶりの経過報告です。産まれたときには発症していた筋性斜頸とそれに伴う項靭帯付近への恒常的トリガーポイントの発生。前の記事では斜頸の程度が軽いために整形外科医は誰も治療に踏み出さなかったり、痙性斜頸と誤診され、ボトックス注射で嚥下障害を発症して激やせしたりした経験を書いた。今回はそれらに加え更に気付いたことなど述べてゆこうと思う。

•斜頸と貧困な歯科治療が周辺組織を拘縮させたもよう

大阪大学大学院歯学研究科・歯科保存学教室の教授、林美加子氏によれば、歯を削れば削っただけ歯科医に報酬が加算されるのに、予防歯科ではあまり診療報酬を得られない日本の保険制度には問題(e)があるという。なぜなら虫歯を予防することに重きが置かれないからだ。

幼少期から歯医者通いが多かったにも関わらず、歯や歯茎のクリーニング、スケーリング、フッ素散布などの予防歯科を勧められたことも受けたこともなかった。(3医院において) 虫歯になって行くと、決まって私の歯みがきの仕方がいけないといわれ、適当に削り、適当に充填して終わりだった。

1番長くかよっていた歯科医の腕があまり良くなかったらしく、治したはずの歯は四六時中痛んだ。(特に前歯) そのことを訴えても治っているのひとことで終わり。問題の左上の前歯はその後10年近く私を苦しめることとなった。
斜頸そのもの自体は軽度だったのだろう。しかしそれによって患部側の顎の発達がいくばくか阻害されたため歯が入りきらず、左の上下の糸切り歯のひとつ内側の永久歯は斜めに生えてきた。この歯のポジションが治療の難易度を上げたことは間違いない。(のちに私をこの苦しみから救ってくれた名医でさえ治療に1時間以上かかっていた……彼に治療してもらったあとは一度たりとも痛んだことがない)

地元のF歯科医院での治療は、充填が完全に為されておらず、そのために痛み、しみる感じ、が出たと名医に説明された。
問題の前歯は、再充填されるまでは朝も昼も夜も痛み、特に空気にふれるとしみたので、口を閉じていることが多かった。そしてこれが問題だったのである。
先天性の斜頸によって、歯が痛みはじめた時点ですでに、私の口、顎、舌、首周辺の、胸鎖乳突筋以外の骨格筋(広頸筋、顎舌骨筋、舌を動かす筋肉、表情筋など) はすでにある程度拘縮していた。口角を上げずらく、モノが噛みにくかった。そこへ恒常的な歯痛によって口が開けられないとどうなるか?体は代償行動に出る。すなわち正規のポジションよりも右上に顔を向け、頭を前に突き出し、口、顎、首の固まった筋肉を補おうとする。すると首の筋肉や靭帯にかかる負担は正しい姿勢だったときの4倍近くにもなる。

  

英国の研究者がWHOのショック状態への不適切なガイドラインに警告

これがトリガーポイント形成のキッカケとなる。更には治療ででこぼこになった歯が噛み合わせを悪くし、噛むことを司る筋肉が退化し拘縮に拍車をかけた。

以上のことを考えあわせると、斜頸単体というよりも、悪い口内環境と重なったことによって、口の内外と周り、顎、首の軟部組織が過度に拘縮し、頭と首を恒常的に無理な姿勢に導き、筋筋膜性疼痛を発症させたと推測する。筋膜性疼痛は以前述べたとおり長く罹患していると中枢神経過敏症をを引き起こし、光や音で痛みを発するようになるどころか耐え難い痛みを発するようになる。これを根本的に治療するには患部にトリガーポイント注射か鍼を刺したり、ストレッチ、マッサージなどで硬結部分を伸ばすだけでなく、トリガーを作った原因、つまり無理な姿勢、非対称な骨格、筋肉への過負荷などを矯正するアプローチが必要となる。

  

痛み止めには、抗鬱薬やNSAIDsなどが有効のよう。私の場合特にサインバルタとイブ頭痛薬が効きました。

カフェインと慢性疼痛|過食と慢性疼痛

本日スタバのラテ220mlを摂取したところ、5分以内に疼痛レベルが上がった。前から薄々気づいていたが、カフェインは疼痛を悪化させるようだ。紅茶はほとんど感じたことがないがコーヒーはてきめんにきく。それが理由でブラックはほとんど飲まない。本能的に避けているようだ。

繊維筋痛症や筋筋膜性疼痛症候群などの慢性疼痛疾患は中枢神経過敏症である。これは脳や脊髄が炎症などによって過度に興奮し痛みの信号を通常より多く出してしまう状態のことだ。軟部組織の損傷が長期化したり、または脳の異常などでいくつかの神経回路が興奮状態に陥り、痛みの伝達物質を過剰に放散する。その結果患者は通常は痛みを感じないはずの刺激で痛みを感じたり、同じ刺激でもより多く痛みを感じたりする。これを痛みの閾値が下がった状態という。
痛みというのは本来生きていくのに欠かせないものでだからなのか、他の、臭いなどの刺激が長く続くと人間は慣れるのに、痛みはそうではなく、損傷が長期化するとむしろ悪化する。歯を麻酔なしで削ったときくらいの痛みを常に発するようになる。こうなるともはや生きるための痛みというより痛みに生きることを阻害されている状況だ。
中枢神経過敏症(central sensitization syndrome )の原因はさまざまだが、かかると主に、光や音や臭いや精神的興奮、緊張などによって痛みが増加する。また中枢神経を興奮させるカフェインもよくないようだ。繊維筋痛症の患者はカフェインの摂取を控えるよう勧めているサイトがいくつもある。私は自分の経験から筋筋膜性疼痛患者にもコーヒーの摂取量を減らすことを勧めたい。

追記:中枢神経過敏症という概念は日本ではまだあまり一般的ではないようなので気力と体力があれば英語でGoogleることを勧める。痛みでそれどこじゃないと思うけど、、、

(血糖と慢性疼痛)
私は元々甘党だが前から、痛みが酷くなると特に菓子やパンなどをなぜ発作的に欲しくなるのか、プラスそれらを食べた後しばらく(症状によって回復はまちまちだが数十秒から一時間の間)痛みが緩和されるのか疑問に思ってきた。痛みがひどいと過食症状が現れることは前にも書いたがずっと疑問だった。今回痛みにサインバルタがよく効いたのでその作用を調べてみると体内のセロトニンという快楽物質の濃度を高める作用があるとのことだった。そこでセロトニンがどのような活動をしているときに自然分泌されるかを調べてみた。するとバナナや炭水化物を食べると血糖値が上昇しそれに伴ってセロトニンが放出されるということだった。謎が解けた。無意識にセロトニンレベルを上げて疼痛を軽減させようとしていたわけだ。他に病名も知らないころ試していたのは、じわじわ泣くことだった。じわじわ泣くというのも重要で大泣きすると痛みが悪化するので感動して静かに涙を流す感じがよかった。ゆえにちょっとした事で泣けるようになった。
涙は食べ物ほど効かなかったがそれなりに痛みを軽減したので今後これらとセロトニンの関係についても調べていきたい。ちなみになぜ抗うつ薬のようなセロトニン濃度を上げる薬がFMやCMPなどの慢性疼痛に効くのかはっきりとはわかっていないが効くという報告が多々あるのでアメリカなどで疼痛疾患全般に適応があるとのこと。