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“レイプカルチャー”とは何か?

警告ーこの記事は、フラッシュバックやパニック発作などを引き起こす可能性があります。

女性に対する性暴力についてはブログで何度も取り上げてきた。日々暴力に怯えて暮らさなければならない、女性の権利が著しく低いこの国の現状は酷いものだ。私たちは毎日暴力に晒され、搾取されつくしている。例えばウィキペディアによれば、強姦罪は、暴行や脅迫を伴っていたとしてもーーというか伴っていなければ罪を構成しないーー懲役3年以上、強制わいせつ罪は懲役六ヶ月以上10年以下の懲役であり、こちらも暴行や脅迫があったことが立証される必要があるとされる。国際的な見地からしてこれらの法定義と量刑はかなり時代遅れであると推察される。なぜなら性犯罪の全てがそのようなアグレッシブな形をとるわけではないからだ。まずトルコの刑法102条を見てみよう。第六章、”性の決定権への侵害” の項によれば、被害者の”性の決定権を侵害”した者は、禁固2年以上7年以下となり、罪を犯した相手の特性や現場の状況、加害者と被害者の力関係によって、罪が加重されてゆく。102条の3項においては、”もし、犯罪が、以下に述べる状況で行われた場合、それぞれの要素につき更に禁固一年半を課すーー(a)身体的又は精神的障がいにより抵抗が難しい者を標的にした場合、(b)職場での立場を過度に利用したものだった場合、(c)三等親又は親戚関係にあるものを標的にした場合、(d)2人以上の者が犯罪に関わった場合” 4項において、” 暴行を用いて犯行に及んだ者は、更に重犯の傷害罪において裁かれる” 5項において、” 犯行の末に被害者の身体又は精神の状態を悪化させた者は(障がいを負わせた者は) 禁固10年以上に処す。” また六項において” 犯行の末に被害者を死亡させた者は、最高刑である終身刑に処す” となっている。ここで見えてくるのは、トルコの刑法の性犯罪の扱いがこの国のそれとかなり違っていることだ。なにをもって”性の決定権の侵害”としているのかは書かれていないが、相手の望まない性的接触や言動(挿入まで伴わない)を指していると思われ、日本における”強制わいせつ罪” “準強制わいせつ罪” にあたりそうだ。両者とも親告罪であるが、しかし二国の刑法の大きな違いは、トルコにおいては罪の構成に暴力の行使を必要としないが、日本においては必須であることだ。この際、目撃者の証言や被害者の身体の傷が証拠として採用されるであろうことは想像に難くない。しかし、性犯罪が必ず暴行を伴い、見知らぬ者からの犯行であるというのは固定観念と偏見に満ちた前時代的な考え方であると、前にも記事で、1994年から10年間国連人権委員特別報告者を務めたクマラスワミ氏の言葉を引用して述べた。ここでもう一度確認してみよう。

伝統的な法制度においては、”「女性の意志に反して」”という言葉が含まれており、これは、”女性が打ち身やあざといった形で身体的な抵抗の証拠を提示することを要求し””医学的な証拠か目撃者による確証”が必ず必要だった……しかしながら、こういった強姦罪を訴えにくくする法律や刑事司法制度はこの1994年からの10年間で変わってきたと、クマラスワミ氏は言う。多くの国は、”正義の現代的な概念に適合するように強かん法を改正”し、”「女性の意志に反して」という言葉は(法律の条文から)取り除かれ、””抵抗を証明するため”に”身体的な傷や打ち身”を証拠として提出することは不要となり、過去の性の経歴、被害者がどのような人物と、どのくらいの人数と、どの位の期間交際していたか、は、証拠法で”証拠として採用でき”なくなり、性暴力を証明するために被害者の証言を裏付けする必要はなくなった。
TinyTim, 国際的な強かん罪をとりまく刑事司法制度の発展と、現代における定義および夫婦間の強かんについて, TinyTimの書庫

このように、厳しい制限つきの証拠法は、罪を訴えにくくし、また”性犯罪は必ず暴力を伴う” “合意がなければ被害者は全力で抵抗し身体に傷を負うはずだ” という”神話” に拍車をかけ、その型に当てはまらない被害者を法的救済からはじいてしまう。

また、両国の性犯罪に関する刑法で異なるところの二つ目は、子供(トルコでは15歳以下と規定)に対する性的虐待、性的略取についての言及である。トルコでは児童への性的虐待については、103条において1項をさいて規定している(加害者を親に限っていない) が、日本において、私が調べた限り、児童への性的虐待を個別に罰する条文は見受けられなかった。強制わいせつ罪、強かん罪の項においても、子供が被害者だった場合の量刑の加重はない。トルコの刑法103条1項では、” 15歳未満の者又は15歳以上だが性行為の意味を解さない者に対して性的虐待を行ったものは、禁固3年以上8年以下を処す”とされており、大人の性の決定権を侵害した場合よりも、量刑の上限、下限が共に一年引き上げられており、子供から性的に略取することをより重く受け止めているのが伺える。更に103条において、3項以下を見てみると、”(3) 虐待が、前科のある者、被害者の2親等か3親等の者、義父、保護者、教員、看護師、習い事などのトレーナー、その他児童の保護と調査を義務付けられた者や医療福祉関係の者による場合、又は公的機関の職員が権力を乱用したものだった場合、それぞれの要素につき一年半量刑を加重する” “(4) 犯行が十五歳未満のもの又は十五歳に達していても行為の意味を理解できない者に対して行われ、それが暴行、脅迫を伴っていた場合、更に禁固を一年半加重する” “(6) 犯行の末に被害者に身体的又は精神的障がいを負わせた者は、禁固15年以上に処す” ” (7) 犯行の末に被害者を死亡又は植物状態にさせた者は終身刑に処す” 103条の、児童への性的虐待の罪のこれらの項では、罪の成立に身体のどこかの部位又は物体を被害者に挿入していることは必須条件ではない。挿入行為においては、同条の2項において、” 身体の一部(ペニスとは規定されていない) 又は物体を被害者の身体に挿入し虐待した場合( 膣とは規定されていない) 加害者を禁固八年以上十五年以下に処す( 被害者の性別には言及されず、男女共に適用)” と定められている。(児童への性的虐待について定められた103条の詳細は以下参照)

ARTICLE 103-(1) Any person who abuses a child sexually is sentenced to imprisonment from three years to eight years.

Sexual molestation covers the following acts;

a) All kinds of sexual attempt against children who are under the age of fifteen or against those attained the age of fifteen but lack of ability to understand the legal consequences of such act,

b) Abuse of other children sexually by force, threat or fraud.

(2) In case of performance of sexual abuse by inserting an organ or instrument into a body, the offender is sentenced to imprisonment from eight years to fifteen years.
(3)In case of performance of sexual abuse by antecedents, second or third degree blood relations, step father, guardian, educator, trainer, nurse and other persons rendering health services and responsible from protection and observation of the child, or by undue influence based on public office, the punishment to be imposed according to the above subsections is increased by one half.
(4) In case of execution of sexual abuse against the children listed in paragraph (a) of first subsection by use of force or threat, the punishment to be imposed is increased by one half.
(5) The provisions relating to felonious injury are additionally applied in case the acts of force and violence cause severe injury to the person subject to sexual abuse.
(6) In case of deterioration of corporal and spiritual health of the victim as a result of offense, the offender is sentenced to imprisonment not less than fifteen years.
(7) In case the offense results with death or vegetal existence of the victim, the offender is punished with heavy life imprisonment

Criminal Code Law Nr. 5237 Passed On 26.09.2004 (Official Gazette No. 25611 dated 12.10.2004) .

ここで注目すべきは、被害者を女子に制限していないこと(これは大人への性犯罪を取り扱った102条においても同様) 、ペニス以外の身体の一部や物体の挿入でも罪を構成すること、挿入される場所を膣に限定していないこと( これらの適用範囲の広い規定も、成人に対する性犯罪の場合も同様)である。日本においては、性犯罪の中で最も重い量刑が課される強かん罪を構成するためには、様々の条件が必要である。①被害者が女性であること、および②ペニスの膣への挿入および③脅迫又は暴行を伴っていること、の三つが満たされなければ、同罪は成立しない。被害者が男性であった場合、ペニスのアナルや口への挿入、ペニス以外の身体の一部(指など) の、膣、アナル、口への挿入、物体の、膣、アナル、口への挿入は、被害者が男性だった場合はもちろん、女性でも強かん罪の適用とはならず、より軽罪の強制わいせつ罪の適用となる。
ここまでトルコの刑法と日本のそれを見比べてみて感じるのは、日本における性犯罪全般への罰の軽さ、児童への性的虐待の軽視、性犯罪の特性への理解不足、”強かん”の定義の極端な狭さである。強かん罪の成立がいつかは調べきれなかったが、判例が昭和20年代などかなり古いことを見ても、かなり前に成立し、その後大きな改正をしていない様子が見える。近代の人権観に適合しておらず、性犯罪を、”人間、人格、人道、人権、女性の権利” に対する罪としてではなく、”家の名誉、面子” を汚した罪と捉えているように見える。女性を人間とみなさず、”家の財産” として扱っているとすれば、このような量刑も納得がいく。しかし21世紀において、女性は”物” ではなく”人間” であり、家の財産でもない。奴隷でも、性奴隷でも、主体のない人形でも、トロフィーでもない、という認識が国際社会では一般的である。そろそろ旧態依然とした化石は捨てるべきだろう。また、”男性は性犯罪には遭わない” とばかりの法律も改正するべきだろう。男性の性被害は、この社会において置き去りにされていると思う。最近、それについて気になることが重なったので、次はそれについて論じることにする。
ここまで見てきた通り、日本の刑法では、男性に対する性犯罪を規定しているのは、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪だけである。暴行罪や傷害罪で裁かれることもあるかもしれないが、” 性の決定権の侵害””人道や人権に対する罪” で加害者を裁くことが肝要であると私は考える。なぜなら、性犯罪は通常の暴行罪とは違い、被害者に深い心の傷を負わせるからである。そればかりか、時に数年また数十年と被害者を苦しめることがある。ウィキペディアによれば、レイプを含む性犯罪は次のような影響を被害者に及ぼす。

Traumatic events such as rape and sexual assault have, aside from obvious physical traumas, profound long-term psychological effects on all victims including but not limited to children who are assault victims. These include: denial, helplessness, dislike of sex, anger, self-blame, anxiety, shame, nightmares, fear, depression, flashbacks, guilt, rationalization, mood-swings, numbness, promiscuity, loneliness, social anxiety, difficulty trusting oneself or others, difficulty concentrating. Family and friends experience emotional scarring including a strong desire for revenge, a desire to “fix’ the problem and/or move on, and a rationalization that “it wasn’t that bad”.[28]
Sexual assault, Wikipedia

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“被害者が子供でも大人でも、レイプや、レイプ未遂、望まない接触などの性犯罪に遭った被害者は、長期間にわたり、次のような精神的打撃を受ける。すなわち、無力感、セックスへの嫌悪感、怒り、不安、恥じる気持ち、恐怖、鬱状態、フラッシュバック、罪悪感をもつ、事件を正当化する(例、自分はレイプなどされていない、痴漢などされていない)、不安定な精神状態、自己否定、悪夢、孤独感、他人を信じられなくなる、集中力の低下、自責、社会への不安、ショック状態、セックス依存症などである。”

長期に渡り不安障害や摂食障害、鬱状態にさせることもよくある。また、被害者落ち度論が幅を利かせ、加害者を罰さない”レイプカルチャー” に染まった社会においては、加害者よりも被害者に自責の念を抱かせ、告訴を困難にし、被害者は事件後も、警察、検察官、裁判官、親、兄弟、友人、知人、医療関係者などから際限なく責められ(セカンドレイプ)、社会的に抹殺され、精神的に追い詰められる。被害者が男性であれ女性であれ痛みは同じ。このような人格と自尊心を粉々にされる犯罪は、誰の心にも深い傷を残す。男だから”耐えられる”訳ではない。私は電車で痴漢にあったとき、非常に不愉快で気分が悪かった。吐き気がした。ペニスを太腿に押し付けられて、その後3日間吐き気が続いて、二週間は風呂に入るたび苦しくなり、事件から6,7年経った今も忘れられない。これを書いている今も軽く涙ぐんでいる。性犯罪というのはそういうものだ。一生癒えない傷を遺す。魂を壊す。私は女だから男性サバイバーを代弁することはできない。しかし、私たちはたった一個しか染色体が違わない同じ人間だ。自分をじゅうりんされた怒りや悲しみは、男性被害者の方も持っているという予測は容易に成り立つ。最近それに関し、メディアで特に気になることがあった。まず、“めちゃx2イケてるッ!“という毎週土曜夜7:57-8:54放送のテレビのバラエティ番組でのコーナー、” めちゃギントン” で、罰ゲームと称して行われる、ギューギュートレインと呼ばれる” 男性がひしめく空間の中に、ゲームで負けた男性を放り込む” という行為についてである。明らかに問題だと思ったのは最近、ジャニーズ事務所という男性アイドルを扱う事務所に所属しているタレントが、そのゲームに参戦したときのことだった。彼らは罰ゲームの際に、”股間を掴まれた””尻の穴に指を入れられた” と言った。これは、”合意を得ない性的侵略”にあたる。日本の刑法では強制わいせつ罪、トルコのそれなら強かん罪にあたりうる行為である。(指の挿入の方) このような性犯罪が行われているにも関わらず、周りの人間はそれを笑い、茶化し、震える被害者に”敏感肌”などという揶揄を投げかけた。これはまさしく、レイプカルチャーの定義と合致する。(レイプカルチャー詳細については以下参照) つまり、

In a rape culture both men and women assume that sexual violence is a fact of life, inevitable as death or taxes.

.Transforming a Rape Culture via shakesville
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“レイプカルチャー”の社会においては、性暴力は問題にされず日常の一部として受け止められ、死や税金のように不可避のものだと考えられる。

しかしながら、神や生物学がこれを定めたのではない、と説明が続く。私たちが避けられないと受け止めていることのほとんどが、変えることができる価値観や姿勢なのである。
つまり、前述したような性犯罪が白昼堂々、誰にも咎められず行われるということは、”不可避”で”当たり前”で”仕方が無い”ことではなく、あくまでも流動的で変化可能な価値観の一つでしかなく、そういった価値観を説明するため、1970年代のアメリカのフェミニストが提唱した”レイプカルチャー”という概念は、今では広く(アメリカ)社会に浸透したものとなっている。この国もまた、”レイプカルチャー”に染まり切った社会であることは間違いがないし、確実にアメリカよりも酷い状況にある。その”レイプカルチャー”に蝕まれるのは女性だけではない。次に、更に男性への性犯罪の例をあげていく。ダウンタウンという芸人で、大物芸能人が司会をする歌番組でのこと。とある男性歌手が、”僕、浜田さんにおちんちんポーンされました”と軽い調子で発言した。つまり、”ペニスを触られた”の婉曲表現で、合意のない性的接触を示唆している。明らかに権力構造を利用してのものだから悪質である。日本では強制わいせつに認定されるかどうかも怪しいが、上司が部下に、権力者がそうでないものに、仕事を盾にとってセックスや類似の行為を迫ることは、より悪質な性犯罪/セクシュアルハラスメントとして多くの機関が定義づけている。

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“レイプカルチャー”とは”レイプするな、ではなく、レイプされるな、と教えられる社会”であると、Buzzfeedは主張する。つまり、加害者よりも被害者に責を負わす風潮のことだ。この他にも、アメリカのマガジン、BuzzFeedが、性犯罪への偏見、レイプ神話、固定観念などを取り扱った“What is rape culture?“で取り上げている、性犯罪への誤解をテーマにした記事が興味深かったので紹介する。

Rape culture is telling girls and women to be careful about what you wear, how you wear it, how you carry yourself, where you walk, when you walk there, with whom you walk, whom you trust, what you do, where you do it, with whom you do it, what you drink, how much you drink, whether you make eye contact, if you’re alone, if you’re with a stranger, if you’re in a group, if you’re in a group of strangers, if it’s dark, if the area is unfamiliar, if you’re carrying something, how you carry it, what kind of shoes you’re wearing in case you have to run, what kind of purse you carry, what jewelry you wear, what time it is, what street it is, what environment it is, how many people you sleep with, what kind of people you sleep with, who your friends are, to whom you give your number, who’s around when the delivery guy comes, to get an apartment where you can see who’s at the door before they can see you, to check before you open the door to the delivery guy, to own a dog or a dog-sound-making machine, to get a roommate, to take self-defense, to always be alert always pay attention always watch your back always be aware of your surroundings and never let your guard down for a moment lest you be sexually assaulted and if you are and didn’t follow all the rules it’s your fault.

Shakesville via buzzfeed

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“レイプカルチャー””レイプ文化” とは、女性に、着る物、服の着方、歩く場所、外出の時間帯、誰と出かけるか、誰を信じるか、やっていいことと悪いこと、どんな酒をどのくらい飲むか、男性と視線を合わすかどうか、を慎重に適切に判断することを強制し、同行者はいるか、信頼できない人と一緒か、周りは暗いのか、その場所をよく知っているかどうか、何か大きな荷物があるか、どんな宝飾品を身につけるか、出かけてもいい時間帯か、どんな種類の通りか、治安はいいか、に気をつけろといい、何人と寝たか、どんな男性と寝たか、どんな友人がいるのか、誰に携帯の番号をあげるか、宅配員の男が来たら周囲をよく確認したか、玄関に出る前に相手を確認できるような住まいに住んでいるか、についてよく注意しろといい、性犯罪に遭わないよう、いつ何時も背後に注意を払い、いつも周囲を警戒しろ、という。そしてもし性犯罪に遭っても、これらの規則を一つでも落としていたら、それはあなたが悪い、と女性に言う。これが、”レイプカルチャー”である。

加害者よりも被害者が、これほどまでに責められ、刑罰も軽く、起訴したときに、加害者の社会的ステータスよりも被害者のそれが下がる犯罪は、性犯罪特有のものである。加害者はしばしば、被害者への支配欲求を満たすため、性的な侵略行為やレイプを武器として使う。レイプはセックスではなく暴力なのだ。加害者が、被害者の人格を貶め、攻撃するためにセックスを武器として使う。性欲が有り余ってセクハラやレイプをするのではないコントロール欲求や歪んだ支配欲から犯行に至る。そして、その事実を認めないのが”レイプカルチャー”であり、私たちが生きている場所だ。”レイプカルチャー”の世界では、しばしば性犯罪にあうことが、被害者女性への”賞賛” となる。”魅力的な女”のみが性犯罪に遭うという偏見がある。また、”レイプというのは、暗い夜道、女性が一人で歩いていて、木陰から見知らぬ男が飛び出してきて襲われるものだ” というレイプの狭い定義が幅を利かせる社会でもある。実際に、もちろん、そういう状況で犯行が行われることもある。しかし、他の状況でも起こっているのだ。知人、友人、親兄弟や教師など、見知った相手から、自分の家で受けることもある。ウィキペディアによれば、アメリカにおいて、レイプの加害者が見知らぬ他人だったケースは、全体のたった26%で、残りが、友人知人が38%、現在又は元恋人が26%、その他の関係性の知り合いが7%となっている。レイプ被害は、他人からより、恋人や友人からがはるかに多い。このようなデータを見たとき、” レイプは暗闇の中で、見知らぬ他人からいきなりされるもの” という狭い定義づけは、その他の状況で起こった事件を不問に付してしまうという問題が浮き彫りになる。性犯罪というのは非常に可視化が難しい犯罪である。ゆえに、今後、さらなる性犯罪関連法の改正、加害者更生プログラムの充実などと共に、可視化にあたっていくことが望まれると思う。

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